Ryusuke Kawai

ジャーナリスト。慶應大学法学部卒。毎日新聞記者などを経て独立、ノンフィクションを中心に執筆。『大和コロニー「フロリダに日本を残した男たち」』(旬報社)、『「十九の春」を探して』、『122対0の青春』(共に講談社)など著書多数。日系2世の作家、ジョン・オカダ著『No-No Boy』の翻訳を旬報社より出版。『大和コロニー』は、「Yamato Colony: The Pioneers Who Brought Japan to Florida」として、University Press of Floridaより英語版が出版。

(2018年3月 更新)

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戦時中の米国、中国系少年と日系少女の悲恋ベストセラー「あの日、パナマホテルで」から読み取るものは ― その1

日中関係が険悪になり、なんとか事態が改善の方向へ進まないかと最も気をもんでいるのは、中国在住の日本人と日本に在住の中国人ではないだろうか。なかでも、日本人と中国人のカップルはその思いを強くしているだろう。

世界中のほとんどの国の人間が国境を越えて移動し、異なった国や民族の人間同士が結婚し、新しい世代がつぎつぎに誕生している。日中間に限らず、国家間の紛争や民族対立が激化すると、こうした人たちは宿命的に辛い思いをする。

もちろんそれはいつの時代にもあることで、例えば9.11以後のアメリカでは、アラブ系やイスラム教の人たちとそれ以外の人たちのカップルは同様の思いをした。

こうした複雑な状況に置かれた個人の営みが、国家間の事情で壊されそうになるとき、人々は何をどう考え、生きていくのか。これらは文学のテーマとしても扱われてきたし、これらを背景とした物語や映画も少なくない。

その種の小説の中で、近年アメリカで大ベストセラーになったのが、ジェイミー・フォード ...

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もっと日系の意見を聞いてくれればいいのにシアトルの日系スーパー、宇和島屋・モリグチ会長 - その2

その1>>

日本人からアメリカ人になっていく不思議さ

――明治時代から多くの日本人が移民として海外に出ましたが、同じ頃日本の地方から多くの人が東京などの都市に出ていきました。たまたま向かった先が国内か海外という違いが、後の世代にとっては非常に大きな違いになりますね。

モリグチ:  最初にひとつ違うのは、アメリカに来た人は、いつかお金を儲けて日本に帰ろうと思っていたのがほとんどでしょう。でも、目的地が東京だったら田舎に帰らないのでは。私の父親の富士松も当初は日本に帰る予定でした。

彼は長男だったし少しは土地も持っていたから、長いことずっとそう思っていたはずです。しかし、亡くなる1年前に孫ができました。すると驚いたことにこちらで墓を買いました。そして市民権を取って、さらに妹の娘に土地をあげたんですね。以前から考えていたんでしょうが、孫ができたのはグッドエクスキューズ(いい言い訳)だった。

――先ほどの話に戻れば ...

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もっと日系の意見を聞いてくれればいいのにシアトルの日系スーパー、宇和島屋・モリグチ会長 - その1

アメリカで最も成功した日系資本のスーパー、Uwajimaya(宇和島屋、シアトル)の歴史については昨日紹介した。長年にわたってその経営をリードしてきたトミオ・モリグチ(森口富雄)会長は、ビジネスのみならず日系2世として、現地の邦人紙・北米報知(The North American Post)の発行や、日系人の高齢者福祉の観点から生まれたNPO、日系コンサーンズ(Nikkei Conscerns)の運営などアメリカの日系社会でのさまざまな文化、福祉活動にも積極的に関わってきた。

日系というアイデンティティのために何をしてきたのか、また ...

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アメリカで最も成功した日系スーパー日本食材を広めたシアトル・宇和島屋ファミリー その2

その1>>

顧客は日系、アジア系、非アジア系というバランス

一方、品揃えについては、日系人・日本人を対象にスタートしながら徐々に日本食の広まりをとらえて変化させていった柔軟さが業績を伸ばした。

宇和島屋の顧客は、その3分の1が日本人あるいは日系人、3分の1が日系以外のアジア系、残りの3分の1が白人ほか非アジア系と見ている。このバランスが功を奏しているようだ。

「これからはべルビューにあるような店を展開していきたい。ハイクオリティーのものを売っていくようにしたい」と、新店舗展開に積極的なCEOが言うように、他店と差別化を図る戦略を今後は進めるようだ。

現在の宇和島屋のそばにモリグチ会長は、コンドミニアム(マンション)を所有しているが、そのビルには大きく「富士貞」と漢字で書かれている ...

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アメリカで最も成功した日系スーパー日本食材を広めたシアトル・宇和島屋ファミリー その1

ずらり並んだ日本酒の瓶。ここ数年の日本酒ブームでどこのスーパーの酒類売り場でもずいぶんと銘柄が増えたものだが、この店ではビンについた値札がすべてドル($)表示。といっても免税店ではない。

同じく、納豆、豆腐はもちろんのこと、どら焼きも大福などの和菓子もドル表示。そして、総菜コーナーには海苔巻きから太巻き、各種弁当も並ぶが、これらもみんな“ドル”だ。

一方、精肉コーナーに行くと大きな肉の塊が並び、氷の上にのった鮮魚は、並べ方も切り身もスケールがでかく、こちらは日本離れしているのでドルでも自然だ。

ここはアメリカ西海岸、ワシントン州の都市シアトルのスーパー、「Uwajimaya」(宇和島屋)の店内だ ...

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