その1を読む >>
家族のために「温泉弁護士」として活躍
ポートランドから車で約1時間のワシントン州スティーブンソンに母親の別荘がある。テニスが趣味の母親は、体に痛みを覚えた時など、昔からワシントン州カーソンにある温泉に通っていた。
両親は「近くに泊まれる場所があれば」と、そこから車で5分のスティーブンソンに別荘を購入。「そうしたら、“アメリカン・ドリーム”の父が、うちの土地も掘ったら温泉が出るんじゃないか、なんて言い出して……」。専門家を招いて地質探査をしていくうち、27年前、本当に掘り当ててしまったのだ。約2,000フィートもの採掘! それが、美由樹さんの家族が現在経営する温泉施設、テンゼン・スプリングス・アンド・キャビンズ誕生の経緯である。
「せっかくならば、その源泉で日本の温泉文化を地域に紹介したい」という両親の思いから、最初は保養施設を考えていた。ところが、さまざまな法律や規制をクリアする必要があることがわかり、計画は困難を極めた。「近くにコロンビア川が流れていますが、新規のビジネスにおいては湧き出た温泉を直接川に流すことはできません。それで、使用した温泉水をきれいにして流し入れる井戸を新たに掘らなければならなかったんです」
このルールは「リターン・ウェル」と呼ばれ、サステナビリティーの一環である。しかし…