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巨大日系移住地イグアスにせまる魔の手 ー 暗躍する「土地なし農民」

2011年9月に開催されたイグアス移住地50周年式典の様子

「またか!」と呆れた話である。

国立農村土地開発局(INDERT)は、かつて2005年に起きた、パラグアイの日系イグアス移住地にいまだ存在すると仮定される「国有余剰土地の問題」を再び蒸し返したのである。

このいいがかりを折に触れては燻ぶらしているのが、同移住地の西部隣接区のフアン・レオン・マリョルキン自治体(編注=ブラジルでは「市」。アウト・パラナ県にあるイグアス移住地の隣接地)だ。その後押しをして、日系移住者の脅威と化しているのが、他でもないINDERT当局なのだ。

去る9月10日に同農村開発局は、イグアス移住地を構成する旧地所77番地(現地所631番地)の法定測量を、時のオラシオ・トーレス局長の下に要請した。いうまでもなく、8万7千ヘクタールに及ぶ同移住地は、1960年にJICA(旧移住事業団)によって購入された、歴然たる開拓のための私有地である。

このINDERTが求める件の法定測量は、目下アスンシオン市のフアン・パラシオス判事の許で検討中である。

イグアス移住地は、日パ移住協定の一連の目的の一つとして、我がパ国で建設されたものである事を、日本側はここで強く主張し、指摘すべきである。この8万7千ヘクタールの旧地所77番地をJICAは購入し、当然法定測量の実施も完了し、1961年8月17日付の判決241号をもって、新地所631番地として改めてJICA名義で登記された。もちろん、入植者はその土地代をJICAにそのつど支払い、開拓し営農に従事した。

イグアス移住地はその全面積が法定測量に基づいた、どこから見ても明らかなる私有地である。そのどこにも国有余剰地はない。正規の売買契約によった、登録第631号の私有地である。にも関わらず、INDERTはその中の、国有地でもない部分の土地の法定測量の実施を、今更要求している。だが、これは明白な当局の越権行為である。


マリオ・ノゲーラ氏の暗躍の手

2005年中期に、サン・ラファエル地域自治協議会は、INDERTに対し、日系イグアス移住地内に存在が仮定される、約8千ヘクタール(ラ・コルメナ移住地の面積に匹敵)の国有余剰地の法定測量を要請した。その結果、2007年に至り、土地開発局(INDERT)は、例の新旧地所631番地と77番地の対比法定測量の実施を承認した。

2017年10月17日(12年後)に、INDERTはフィレモン・メルガレホ技師を主任とする当該測量士団の設置を認め、最近9月10日には法定測量の実施要請が、フアン・パラシオス判事の下に提出された。

実に2005年から2017年という12年もの不安な時間が経った訳だが、フアン・レオン・マリョルキン市のマリオ・ノゲーラ市長の運動とあいまって、問題の仮定国有余剰地8千ヘクタールの法定測量の一件が、またもや復活した始末だ。

不可解なのは、INDERT自身が2014年に一度イグアス移住地の地勢測量を行ったが、その際作業を担当した測量士は、同地で「なんら国有余剰地は見付からなかった」と報告していることだ。

国有余剰地の存在を語るのは即ち、自称「土地なし農民」の私有地侵略を意味する事に他ならない。現在、INDERTの暗黙の了解の下に、日系イグアス移住地の“国有余剰地”の侵略を狙っている「土地なし農民」は、800人余りに達すると云われる。

その陰の主なる扇動者は、マリオ・ノゲーラ市長なのは公然たる秘密である。


日パ外交関係樹立100周年

この11月8日にJICA(国際協力機構)の北岡伸一理事長が、パラグアイを公式訪問した。その目的は1919年11月17日に、日本とパラグァイの友好親善関係の外交協定が結ばれた100周年記念行事の一環を成すものである。

パラグアイは日本に対し、新たに各種の経済支援・協力を要請する考えで、日本政府も、常にこれに応じる意思に変わりはない。日本政府は、従来農業移民の受け入れ等に寛大で親日国のパラグアイに、伝統的に友諠を示していて、これまでにも諸国中、ダントツの経済援助を続けて来た事は周知の通りである。

繰り返しになるが、今年は日パ外交樹立100周年及び移住協定の下で日本拓殖事業が、発展的に新独立行政法人JICAに吸収されてから40周年になる節目の、有意義な年である。ただし、前述の無分別な政治ゴロの連中が扇動するイグアス移住地への馬鹿げた土地問題の故に、北岡理事長は折角の公式訪問なのに、さぞかし甘酸っぱい思いをされた事だろう。

日パ外交関係樹立の100周年を祝う、真に“素敵”な方法もあったものだ!


ノゲーラ市長が他人の私有地に関心を示すのは何故なのか?

フアン・レオン・マリョルキンの市長マリオ・ノゲーラ氏は、イグアス地区の日本人所有地への関心を公然と認めている。彼は、同地区に8千ヘクタールの国有余剰地が存在すると主張してやまない。INDERTが、同地区の新旧法定測量の比較検証を行った際にも、その事実が認められたと言う。なお、隣接境界線にも疑義があり、問題の的の8千ヘクタールもフアン・レオン・マリョルキン自治体の管轄下に編入すべく求めている。

日本人入植者は、弛まぬ勤勉と努力によって、移住地の高度な成長と発展を成し遂げたものである。人を羨む暇があるなら、自分達も一生懸命に働けば良かろう、と言うものだ。


(筆者注:パラグアイの11月5日付「ABC」紙の記事を参考。)

 

*本稿は、「ニッケイ新聞」(11月13日付け)からの転載です。 

 

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