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対談: 「日本」を見つめる日系人と日本人留学生 ~前編

対談で日本について意見を交わすオカモトさん、近藤さん、鈴木さん

カリフォルニアロールのように異色のものが出会った時、何かが生まれる。それらは世の中の新しい常識を生み出し、世界は動かさないとしても、誰かの人生を大きく変えるものかもしれない。日系人と日本人留学生の出会いはそのひとつではないだろうか。米国で育ち、教育を受けた日系人と、日本教育で育ち、米国でカルチャーショックを受けた日本人留学生。彼らの共通の関心事、「日本」について意見交換をしてもらった。

日本と米国の違いについて 

ジョン・オカモト(以下オカモト):日本はよく似た人、価値観、言葉、養育法によって構成されていると思います。一方、米国はより良い生活を求めて様々な国からやってきた人により成り立っています。文化、異なるバックグラウンド、価値観、宗教が混ざり合った所です。また私たち自身または家族の財産を増やそうという共通の関心事によって発展してきました。これが2国の大きな違いではないでしょうか。

米国は、様々な人がミックスされた国であるため、共通の目的を再確認することに一生懸命に取り組まなければなりません。また、人種、経済階層等に関する葛藤も存在します。

日本は、類似したバックグラウンド、言葉、育ってきた環境、一般的には宗教伝統を持つ人々により構成されているので、米国に比べて共通の考え、慣行があります。ビジネス面でいうと、日本の認識・慣行・価値観により、外部からやってきた人たち、また、伝統を変えるような挑戦的なアイデアが受け入れられにくいです。

米国は、様々な場所から来た多種多様な人々がいるため、いつでも新しいアイデアが生まれています。一方、日本はより共通の目的に対する意識が高く、高齢者や乳幼児をケアする社会保障(市民としての義務)が米国よりも手厚いと思います。

近藤康介(以下近藤):私は、岡本さんの意見に賛成です。米国は様々な文化が融合している国だと思います。私はシリコンバレーやシアトルの文化が好きです。そこに住む人は、GoogleやFacebook、Appleのように、世界をより良い場所にするために、新しいことを行う事、革新を生み出すことに挑戦しているからです。これは米国の強みでしょう。

一方、残念なことに貧困の差があることも確かです。学ぶ意欲があっても、経済力によって十分な教育を受けることができない子供がいるのではないでしょうか。

日本人は、製品やサービスを改善することに長けています。しかし、文化、社会概念、教育によって米国のように多くの革新を生み出すことに苦戦しています。これは日本の弱みでしょう。日本政府はスタートアップが生まれる国にしようと日本の慣行を変える努力を始めていますが、その道のりは険しいです。

オカモト:日本では失敗したときに受けるダメージが大きいのではないでしょうか。失敗に対する恐怖が、リスクをとること、革新を起こすことへの障壁となっています。すべての革新は失敗を伴いますからね。日本の文化的な基準や価値観もそれらへの障壁となっています。

日本には柔軟ではなく固定化された考えが多くありますが、これについてどう思われますか?

オカモト:日本は変わり始めていると思っています。特にあなた方の世代です。東日本大震災後は、日本及び自身をどう分析するかの見直しがより行われていると思います。

30年前、私が初めて日本を訪れたとき、自分自身が受け入れられていないと感じました。なぜなら、長髪にとてもカラフルな服を着ていたからか、品行が悪い人かのように扱われました。

今の日本は当時とは大きく違います。もっと外国人に対して寛容で違いを受け入れ尊敬するように変わってきたと思います。国際社会の一部だという認識をもっていると言えるでしょう。

鈴木俊也(以下鈴木):日本は今、人口減少という重大な問題に直面しています。それに伴い移民受け入れに関する議論も活発に行われています。日本は変わってきているとおっしゃいましたが、その点でいうと日本はまだまだ閉鎖的であると思います。

個人的には、日本政府が移民受け入れを積極的に行ったとしても、文化的相違により失敗するのではないかと思っていますが、日本が外国人受け入れに関してためらっていると感じたことはありますか?

オカモト:個人的な見解では、徐々に少なくなってきていると思います。しかし移民と労働力不足の問題に直面しているのは明らかです。

移民の国の例を一つあげましょう。シンガポールは小さく、資源が乏しい国です。彼らの資源は貿易をする場所だけだった。しかし、彼らは、シンガポール経済を動かす手助けをしてくれる有能な人材を世界中から集めました。

日本は他の国に比べて難しいかもしれません。しかし、国内の女性も含めて有能な人材で国を動かすことができます。女性雇用や役職に昇進させることに関して様々な妨害があることも確かですが。

近藤:日本はいくつかの課題に直面しています。大きな問題は人口減少と高齢化です。解決策のひとつは、オカモトさんがおっしゃったように女性の社会進出促進です。徐々に、働く女性の数は増加していくでしょう。

シンガポールは、男女ともに教育水準をあげて、多くの女性が働いています。子供の数は減少しましたが、シンガポール政府の移民政策がそれを補っています。日本は移民を受け入れなければ、輝かしい未来を手に入れることはできないと私は思います。

人々の考え方の観点から移民受け入れは困難なのではないでしょうか?

近藤:解決策のひとつは、外国で学ぶ人の数を増やすことです。外国で学ぶことにより物の見方や考えを変えることができます。そして、外国から多くの観光客を受け入れること。そうして日本は徐々に外国人を受け入れることに慣れていきます。

オカモト:それは、簡単ではないですね。米国では多種多様な文化の人がいますが、外部から労働力を受け入れることに対する反対意見もあります。


日本が移民を受け入れると、仕事が奪われてしまうという恐怖感もあります

オカモト:メキシコからの大量の移民が米国に流入してきている現状に同様のことがいえます。移民受け入れは、仕事を奪われてしまうという考えを生みます。日本や中国からの移民が米国に来た時に、彼らが白人から仕事を奪っていくという恐れがあったように。当時米国政府は、様々な規制を彼らに対して施行しました。これらが移民受け入れ時に起きることです。よって多くの努力と寛容な心が要求されるのです。


どのように考えを変えることができますか?

近藤:他の人よりも一生懸命勉強して、働くことではないでしょうか。日本人は言語のバリアに守られています。しかし外に目を向けてみれば、日本人に比べて、中国そしてインドの方は勤勉であるように感じます。勤勉であることは外交・経済等すべてのことに影響してきます。だから日本の世界における影響力が減少してきているのです。私たち日本人は、さらに勉強に励まなければなりません。机の上だけでなく。

後編 >>


【対談者プロフィール】

ジョン・オカモト

日系三世。シアトル市特別企画顧問。ワシントン大学行政学修士号。シアトル市役所、ワシントン州運輸局、シアトル港湾局、ワシントン州教師会などで要職を歴任。シアトル港湾局時代は年に2回は日本を訪問。2010年に日系人リーダーシップ使節団に参加。

近藤康介

6年以上働いた日本の商社を退職後、2014年3月シアトルに留学。ワシントン大学で英語とビジネスを学ぶサーティフィケートクラスを受講し、同年6月に同じ留学プログラムの日本人学生と共にシアトルと日本を結ぶ学生団体「Arch for Startup」を立ち上げる。

鈴木俊也

東京大学大学院土木工学専攻。大学院を休学して2014年3月シアトルに留学。ワシントン大学で英語とビジネスを学ぶサーティフィケートクラスを受講、2014年6月に同じ留学プログラムの日本人学生と共にArch for Startupを立ち上げる。

 

* 本稿は、2015年2月26日『北米報知』(Vol. 70, issue 10)からの転載になります。

 

© 2015 The North American Post

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