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The Nikkei of Latin America and Latino Nikkei

カンクンCOPANIとユースの今後の課題

二年毎に開催されるパンアメリカン日系人大会COPANIは、今回メキシコのリゾート地カンクンで行われた1。カリブ海の美しい海辺にあるパレスホテルが会場になったが、今回は企画から運営にわたり、大会のほぼすべてを二十代の若者たちが担った。

2010年の海外日系人大会、若者(留学生)たちとの記念写真

日本で毎年行われている海外日系人大会でも近年「ユースの分科会」があり2、日系留学生を中心に日系人のアイデンティティーや今後の役割、日本との絆等について議論したり、その時々の課題について発表したり討論を行っている。この大会には中南米をはじめ世界中の日系人社会の代表者が年に一度集まり、代表者会議、全体会議、そして各分科会ではさらに具体的な意見交換や問題提起を行う。参加者は、海外の日系社会の課題や成果等も報告するが、現在は「在日日系人」という分科会もあり、日本に定住している南米日系人の課題も議論したり、関係省庁の担当者から報告を受けたり建設的な意見交換を行う。利害関係や思惑が異なっても日本との絆とその関わり方を確認する重要な国際会合である。こうした位置づけからもユース(若者)は、次世代への日本語や日本文化、日本との関わり方、日本での留学経験やその活用が、今後も注目される。

しかし、少し気になるのが「ユースの分科会」と他の分科会との連携があまりないことや、時間配分や会議の仕組みによって互いにあまり情報交換や討論ができないことであり、参加者同士の分科会を超えた交流があまりにも少ないことである。

COPANI-Cancun, Palace Hotel 開催ホテル

今回のパンアメリカン日系人大会では逆に若者が主催者の主役であり、司会から進行だけではなく、事前の登録と分科会の設置、発表者選定及び発表日程等、企画から各事業を行った。若者の新鮮さやエネルギッシュさは感じられたが、この大会の意義や参加国日系社会の諸状況をあまり理解していなかったのか、発表者の数やテーマと日程の配分には一貫性はなく、結局分科会と発表の多さが参加者同士が共有する機会を妨げてしまった。

ソーシャルネットワークの一つであるフェイスブックをフルに活用して広報を行い、大会後には写真や参加者の感想を掲載したが、若者たちからはその楽しい側面ばかりが強調され、何を得たのかはあまり伝わってこない。確かに新たな出会いもあったであろうし、ユースたちの会議の中には有意義な部分もたくさんあったに違いない。しかし、二年に一回の会合としては、物足りなさと同時に軸や核となるものの不在という印象が残った。

近年はCOPANIにも日本の大学院生なども出席するようになった。

次回2013年はブエノスアイレスで開催されるが、今回の反省点を踏まえて是非もっと多くの日系人や日系社会と深く関わっている地元の方も参加できるようにしてもらいたい。近年、日本語やアニメの講師には非日系人が増えており、そうした日系社会の新たな接点や、当然その開催国の社会や文化についても積極的に紹介してほしいものである。

また、分科会間の連携と交流を促進するには、多くのテーマを発表するより、内容を絞って選定した方が良く、学会のように盛りだくさんにする必要はないと言える。

世代間交流という視点で皆を満足させることはできないが、大会中に接点がなければ当然交流の可能性は遠ざかる。

海外日系人大会、またはパンアメリカン日系人大会は、限られた財源と人材で運営されるが、参加費に見合った内容でなければならない。遠方からの参加者も多く、彼らには高い渡航費や宿泊費を払ってでも、時間と費用が何らかの形でプラスになるという期待がある。主催者側は少なからずその期待に応えねばならない。

いずれにしても、大会の企画運営はその時々の状況に左右されるので、主催者側は大会を開催する意義を明確にし、参加者は彼らのニーズや要望を主催者側にフィードバックしていく必要がある。二年後アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されるパンアメリカン日系人大会では、このようなことを念頭に大会を企画してほしいと思う。

アルゼンチンのセントロ日系、ユースとアドバイザーたち

注釈:
1. これまでの開催地:http://www.apnonline.org/copanis/copanis.html
カンクンでの写真等:日系ユースネットワークのフェイスブックから
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.269841889712047.81524.120072304689007&type=1
筆者の:http://www.facebook.com/media/set/?set=a.10150319341664078.361841.678394077&type=1 

2. http://www.jadesas.or.jp/taikai/index.html
   http://www.jadesas.or.jp/taikai/52naiyou.html 

© 2011 Alberto J. Matsumoto

cancún COPANI mexico youth

About this series

Lic. Alberto Matsumoto examines the many different aspects of the Nikkei in Japan, from migration politics regarding the labor market for immigrants to acculturation with Japanese language and customs by way of primary and higher education.  He analyzes the internal experiences of Latino Nikkei in their country of origin, including their identity and personal, cultural, and social coexistence in the changing context of globalization.